移植後33年9カ月後に施行された移植腎生検の一例

東京女子医科大学 泌尿器科
* 清水 朋一、角山 邦子、白川 希浩、宮本 直志、石川 暢夫
徳本 直彦 、石田 英樹、田辺 一成、東間  紘
東京慈恵会医科大学附属柏病院 病理部
山口  裕

 症例は57歳男性。1971年6月、23歳の時、兄をドナーとした生体腎移植を当院で施行した(腎移植1例目)。移植後移植腎機能は良好で血中クレアチニン(s-Cr)も1.0mg/dL前後で経過していた。免疫抑制剤はAzathioprineを100mg/day内服しているのみであった。2003年8月頃より蛋白尿出現。2005年1月にはs-Cr 1.15mg/dLと移植腎機能は変化なかったが、0.63g/dayの蛋白尿を認めたため、移植後33年9カ月後の2005年2月に移植腎生検施行した。病理組織学的に
1) Chronic allograft nephropathy, moderate to severe, with chronic rejection.
2) Transplant glomerulopathy, moderate to severe.
3) Arteriosclerosis, severe and arteriolar hyalinosis, moderate.
と診断した。
 AzathioprineをMycophenolate Mofetilに変更し、蛋白尿に対してはCandesartan cilexetilを投与している。
 本症例のような移植後長期経過症例に施行された移植腎生検の例は少ないため今回提示する。

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