Chronic/sclerosing Allograft Nephropathy症例における液性因子の関与に対する検討

大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学(泌尿器科)
* 難波 行臣、今村 亮一、 史   屹、市丸 直嗣、奥山 明彦
桜橋循環器クリニック
京  昌弘
大阪警察病院 臨床病理科
岡  一雅
大阪大学大学院医学系研究科 先端移植基盤医療学
高原 史郎

【目的】 近年、移植腎機能低下の原因として慢性液性拒絶反応の診断基準が提唱された(血中の抗HLA抗体の陽性、移植腎組織で抗C4d抗体陽性)。
 しかしながら、従来の長期予後に影響を与えるとされているChronic/sclerosing Allograft Nephropathy(CAN)との関係は明らかでない。そこで今回は、長期移植腎生着症例において、慢性液性拒絶反応のCANに対しての頻度や腎機能等との関連について検討を行った。
【対象】 当科にて腎移植後10年以上経過し移植腎生検を施行した症例で、移植腎生検時に抗HLA抗体の有無を検索し、移植腎生検標本に対し抗C4d抗体による免疫染色を行った14症例
【方法】
(1) パラフィン標本を用いた抗C4d抗体による免疫染色
(2) Flow PRAを用いた抗HLA抗体の有無
(3) Banff 97分類改訂版による移植腎生検の評価
【検討項目】
(1) 光顕標本でのBanff 97分類改訂版による評価と慢性液性拒絶反応の有無
【結果】
(1) 14名中 CAN-(a)が12名、CAN-(b)が2名であった。CAN-(a)症例においても、抗C4d抗体免疫染色および抗HLA抗体がともに陽性である例を認めた。(表1.)
【考察】 液性因子が関与するCRは、transplant glomerulopathyや血管病変を主病変とするCAN-(b)のみでなく、CAN-(a)においても認められた。
 従来CAN-(a)と診断されていた症例において、液性因子が関与するCRの可能性を再検討する必要があると思われた。



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