6ヶ月目のプロトコル生検で巣状糸球体硬化症病変を認めた献腎移植症例

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 堀家 敬司、武田 朝美、前田 佳哉輔、坂井  薫、 小野田 浩
及川  理、永井 琢人、後藤 芳充、宇野 暢晃、後藤 憲彦
佐藤 哲彦、松岡  慎、片山 昭男、幅  俊人、冨永 芳博
打田 和治、両角 國男
豊橋市民病院 移植外科
大塚 聡樹

 症例は54歳女性。原疾患は多発性嚢胞腎で16年間の透析療法を経て2004年11月に献腎移植を受けた。ダイレクトクロスマッチ陰性、PRA 0/50であった。免疫抑制剤は、タクロリムス、プレドニゾロン、MMF、バシリキシマブが使用された。移植後の経過はPTDMを発症したもののほぼ順調で急性拒絶反応は経験することなく移植後35日で退院となった。
 移植後6ヶ月が経過してプロトコル腎生検を施行した。このときの移植腎機能は、血清クレアチニン0.93mg/dl、蛋白尿陰性だった。免疫抑制剤は、タクロリムス3mg/day、プレドニゾロン10mg/day、MMF1000mg/dayが投与されていた。
 移植腎生検組織にて、1個の糸球体に移植糸球体炎・泡沫細胞・上皮細胞の増生を伴うsegmentalな硬化像が存在した。他の糸球体にも係蹄の単純化やリンパ球浸潤が目立った。間質には小さな島状の線維化と萎縮尿細管を認め、尿細管炎はみられず、PTCでは壁の肥厚はみられないが管腔内にリンパ球の集積を認めた。
 本症例におけるFGS病変は、持ち込みや再発性ではなくde novo FGSである。タクロリムスは一日2回投与であったが血中濃度が低値であった可能性もあり、潜在する拒絶反応からの糸球体型慢性拒絶反応の存在も疑われた。


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