SLEに合併した促進型拒絶反応をきたした生体腎移植の1例

藤田保健衛生大学 腎臓内科
* 富田  亮、川村 奈穂子、杉山  敏
藤田保健衛生大学 泌尿器科
日下  守、石瀬 仁司、佐々木 ひと美、森川 高光、桑原 勝孝
石川 清仁、白木 良一、星長 清隆
名古屋第二赤十字病院 組織適合検査部
小原 節子

 患者は36歳、女性。ループス腎炎により血液透析導入を受け、母親をドナーとする生体腎移植術を2004年6月30日施行。輸血歴あり。血液型はA(+)→AB(+)。術前CDCはanti T:1, anti WB:4。flow PRAはclass I:28%, class II:0%であったが、ドナー特異的な抗体は存在しなかった。免疫抑制療法はCsA, MMF, steroidにBasiliximab を併用した。術後3日目に尿量減少をきたし、静脈血栓症等を疑い手術施行。肉眼所見ならびに組織所見にて輸入細動脈〜糸球体内の血栓、著明な間質への出血がみられ促進型拒絶反応と診断した。CsA→Tacrolimusに変更し血漿交換3回とDSG(200mg)を10日間投与した。移植前後のflow PRA抗体値は移植前、術後3日目がともに2x、術後11日目が128xと著明に増加し術後30日目の生検では広範な糸球体と尿細管の融解像がみれた。術後78日目Cr値は 3.8mg/dlにて退院した。術後3日目のC4d染色では一部の糸球体係蹄に染色されるもののPTCには全く染色されず、典型的な抗体関連拒絶反応とは考えられなかった。


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