抗CD25mAbの急性拒絶反応予防効果の検討

市立札幌病院 腎移植科
* 原田  浩、平野 哲夫
市立札幌病院 泌尿器科
三浦 正義、関  利盛、岩見 大基、谷口 明久、富樫 正樹
市立札幌病院 病理科
小川 弥生、佐藤 英俊

抗CD25抗体(basiliximab)が導入され2年が経過した。今回はbasiliximabの急性拒絶反応の予防効果を中心に検討する。

【対象および方法】
 3か以上経過観察が可能であったbasiliximab+TAC+MMF+steroidの4剤の導入免疫抑制を行った31例(うちABO不適合5例、抗ドナー抗体陽性2例)(4剤群)の腎移植患者で、コントロールは TAC+MMF+steroidの3剤使用群49例(ABO不適合4例はALGを併用)(3剤群)。移植腎生着率、有害事象、併用免疫抑制剤の投与量の差異、protocol生検による潜在性病変の差異、AR発症頻度、時期、重症度につき検討した。
【結果】  3剤群で1例機能喪失したが他は機能。有害事象は、感染症の発症頻度を含め、両者に差を認めなかった。併用薬剤の使用量は4剤群で明らかに少量であった。また4剤群では、protocol生検による3か月目の潜在性病変の発症頻度を 明らかに減少させた。AR(BLを含む)発症頻度は3剤群13例(26.5%)、4剤群9例(29.0%)と両群に差を認めず。発症時期は3剤群中央値91日、4剤群180日と4剤群で遅発性であるものの重症度は前者でBL 7、I 3、II 2、AHR 1例、後者でBL 1、I 4、II 2、AHR 1、 AHR+II 1例とむしろ4剤群で重症で、液性ARは減少させなかった。
【結語】  basiliximab は術後早期の細胞性AR発症頻度を減少させるが、液性ARおよび、効果消失時期以降の細胞性ARの発症には留意する必要があり、過度の免疫抑制剤の減量は避けるべきである。

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