腎移植後1年目のプロトコールバイオプシーにて多彩な免疫グロブリンの沈着を認めた急性液性拒絶反応の1例

東京女子医大 泌尿器科
* 清水 朋一、田邉 一成、石田 英樹、徳本 直彦、新村 浩明
白川 浩希、石川 暢夫、 東間  紘
東京慈恵医大柏病院 病理
山口  裕

 症例は41歳男性。原疾患は慢性糸球体腎炎。平成15年4月に姉をドナーとしたABO適合生体腎移植を施行した。免疫抑制はtacrolimus(TAC)、mycophenolate mofetil (MMF)、 methylprednisolone(MP)の3剤併用とした。術後、移植後糖尿病に罹患したものの、移植腎機能良好であった。平成16年4月、腎移植後1年目のプロトコールバイオプシーを施行した。病理組織学的に、傍尿細管毛細血管炎(peritubular capillaritis)、係蹄血管極に微少血栓形成を伴った移植糸球体腎炎(transplant glomerulitis)、軽度の尿細管炎を認め、急性液性拒絶反応と診断した。免疫組織学的検索では、C4dの傍尿細管毛細血管(PTC)と糸球体への強い沈着を認め、C3cもPTCへの強い沈着を認めた。またIgMの糸球体へのperipheralな沈着の他に、PTCへの沈着を認めた。C1q、C5b9も糸球体にperipheralな沈着を認めた。

今回、この腎移植後1年目のプロトコールバイオプシーにて急性液性拒絶反応と診断した症例を報告するとともに、このような多彩な免疫グロブリンの沈着を来した病態について考察する

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