治療に難渋した再発性腎炎の3例

九州大学大学院 病態機能内科学
* 升谷 耕介、池田 裕史、平方 秀樹
原三信病院 腎センター
片渕 律子、二瓶  宏
九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学
山元 啓文、本山 健太郎、杉谷  篤
福岡赤十字病院 外科
斉藤 省一郎
福岡赤十字病院 腎センター
金井 英俊、熊谷 晴光

【症例1】  30歳,男性.平成4年3月(27歳)、血液透析(HD)に導入(原疾患:膜性増殖性糸球体腎炎 [MPGN]).平成5年3月(28歳)に母親をドナーとするB型→AB型の血液型不一致腎移植術を施行.平成6年12月より尿蛋白,平成7年4月より尿潜血が出現.同年10月よりネフローゼ症候群(NS)を呈したため移植腎生検を行い,MPGNの再発と診断した.ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン 500mg×3日)を行い,以後プレドニゾロン(40mg),シクロフォスファミド,ジピリダモール,ワーファリンを投与したが,NSは改善しなかった.平成8年6月にNSと腎機能障害の進行を認め,血漿交換を計8回行ったが無効であった.その後も腎不全が進行し,平成8年12月、HDに再導入した.
【症例2】  23歳,男性.平成4年10月(18歳)に腹膜透析に導入(原疾患:巣状糸球体硬化症 [FSGS]).平成8年12月(21歳)に父親をドナーとする血液型適合腎移植術を施行した.平成9年7月より尿蛋白が出現,同年12月にNSを呈したため入院.移植腎生検を行い,FSGSの再発と診断,PSLを60mgに増量したが無効であった.以後,腎不全が進行し,平成12年2月にHDを再導入した.
【症例3】  47歳,男性.平成11年5月(43歳)、HD導入(原疾:FSGS).平成12年5月に母親をドナーとする血液型適合腎移植術を施行した.移植後早期より尿蛋白陽性となり,平成14年9月よりNSと腎不全が顕著となり,移植腎生検を施行,FSGSの再発と診断した.ステロイドパルス療法と血漿交換を行ったが効果を認めなかった.平成15年5月に当院に入院し,LDLアフェレーシスを計12回施行したところ,全身浮腫の改善と尿蛋白の減少(6g/日→2g/日)を認めた.以後,外来での尿蛋白/クレアチニン(Cr)比は1?3程度で推移しているが,血清Cr値は徐々に上昇している.腎移植後の再発性腎炎と診断し,治療に苦慮した上記3症例につき御検討をお願いしたい.

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