原病FGS例における腎移植後蛋白尿と治療

東邦大学 腎臓学
* 水入 苑生、河村  毅、宮城 盛敦、新井 兼司、 酒井  謙
相川  厚、小原 武博、 長谷川 昭
東邦大学病院 病理
渋谷 和俊
東邦大学 病理
石川 由起雄、川村 貞夫

【目的】  再発性FGSの治療と予後の関係を調べることを目的とした。
 対象:当院の腎移植400例中原疾患がFGS(33例)で移植直後より持続性蛋白尿が認められた7例とした。
【方法】  臨床像と経時的移植腎生検を検討した。
【結果】  組織学的なFGSの再発は術後62日〜1年で5例に確認された。組織学的再発が未確認の1例はステロイドパルスを行い18日目に蛋白尿は消失し、1例はAR grade 2の併発があり、ステロイドパルス、OKT3による治療を行い48日目に蛋白尿は消失した。組織学的再発が確認された5例のうち1例(LD115, 腎生検はfile 参照)は1年後、2例は6年後に腎機能喪失のため透析再導入された。残りの2例中1例(LD243,腎生検はfile 参照)は術直後からネフローゼを呈していたが1年半後、蛋白尿は消失し、6年後の現在も血清クレアチニン1.5mg/dlと移植腎機能良好である。1例はネフローゼを呈したことはなく3年目の現在蛋白尿はほぼ消失し血清クレアチニンは1.5 mg/dlである。
 術前のPE・腎摘は腎機能喪失例では3例とも受けておらず、腎機能保持例では3例とも受けていた。
 腎機能喪失例では保持例に比し蛋白尿の出現時期、程度や巣状硬化病変の確認時期は差異がなかったが血圧のコントロールは不良であった。
 再発後の治療についてはPEは全例受けており差異がなかったが、腎機能が喪失した3例中2例はCYAは術直後からではなく、夫々13日 ・1年半後から開始されており、残りの1例のCYA血中濃度はやや低値であった。ACEI、ARBについては腎機能喪失例では3例とも投与されておらず、保持例ではACEIは2例ともARBは1例で投与されていた。
【考察】  FGSの再発の治療にPEやCYA ・FKの血中濃度を高く保つこと以外にACEI、ARBが有効である可能性が示唆された


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