移植腎の慢性拒絶反応における傍尿細管毛細血管壁のC4d沈着と傍尿細管毛細血管炎の関係に関する検討

聖マリアンナ医科大学 病理学
* 小池 淳樹
東京慈恵会医科大学柏病院 病理部
山口  裕
東京女子医科大学 腎センター
小池 美菜子、堀田  茂、田辺 一成、渕之上 昌平、東間  紘
二瓶  宏

【はじめに】
慢性期の移植腎における変化は、chronic allograft nephropathy (CAN)と総称され、この中には慢性拒絶反応(CR)に伴う変化とそれ以外の変化が含まれる。現在、慢性拒絶反応を示唆する所見として、増殖性動脈内皮炎としての慢性血管型拒絶反応(CVR)とtransplant glomerulopathy(TGP)の2所見のみが認知されている。しかし最近、これら以外の免疫学的変化に伴う組織変化やマーカーの検索が試みられているところである。そこで、我々は慢性期移植腎の傍尿細管毛細血管壁(PTC)のC4d沈着と傍尿細管毛細血管炎(PTCI)に注目し、CANのうち液性免疫反応が関与した可能性があるものがあるかどうかについて検討した。
【対象と方法】
対象は東京女子医大腎センターで、CAN with evidences of chronic rejectionと診断された36例である。これらの凍結保存材料に対する間接蛍光抗体法(IF)によるPTCのC4d沈着の有無と程度、および生検組織におけるPTCIの有無と程度について検討した。
【結果】 PTCにおけるC4d沈着とPTCIはともに22例(61.1%)にみられた。また、PTCIが強いものではC4d沈着も強い傾向を示し、特に急性液性拒絶反応の診断にも用いられる、程度の強いC4d沈着を示すものでは傍尿細管毛細血管炎も広範囲で程度の強いものが目立った。
【考察】 CANにおいてもPTCにC4d沈着が認められるものが半数以上みられ、これは傍尿細管毛細血管炎の程度と相関するものと考えられ、PTCのC4d沈着やPTCIもCVRやTGPと同様にCANのうちCRを伴うことを示唆する所見の1つと考えられた。

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