移植後早期に多数のhumpを伴う管内増殖性糸球体腎炎像を呈した1例

岐阜大学 泌尿器科
* 伊藤 慎一、山田  徹、高橋 義人、石原  哲、出口  隆
慈恵医大柏病院 病理部
山口  裕

 症例は29歳男性。12歳時に血尿・蛋白尿を指摘され低補体血症を認め、膜性増殖性糸球体腎炎と診断された。その後、腎機能悪化し23歳時に当科にて血液透析導入となった。今回、54歳の母をドナーとした血液型適合生体腎移植を施行した。FK、MZ、MPSLにて免疫抑制療法を導入、術後3週目のプロトコール腎生検にてごく軽度の間質への細胞浸潤を認めMZからMMFへ変更した。退院後S-Cre1.0mg/dl程度で経過していたが、4ヶ月目に入り蛋白尿(2〜4g/日)が出現し腎生検を施行した。腎生検では、糸球体には毛細血管内の多核球及び単核球浸潤が高度ながら不均一に見られ、メサンギウム領域への浸潤も伴い、humpが散在し所により分葉化が目立った。一部の糸球体では、係蹄壁の二重化や泡沫細胞の浸潤も認め、5個の糸球体では、分節状の係蹄断裂を伴う小細胞性半月体の形成を伴っていた。間質では尿細管炎を伴うやや密な単核球浸潤を一部に認めた。動脈系で小葉間動脈の中等度の線維性内膜肥厚と細動脈壁に軽度の硝子化を認めた。電顕ではhumpが散在し、好中球浸潤が顕著で,基底膜・に沿って帯状のdense depositsを認めた。腎移植前よりC3 、CH50の低下を認めていた。以上より、Dense Deposit Disease 再発の疑いと診断した。今後の治療法も含めご検討をお願いしたい。


戻 る  ページの先頭