移植後膜性腎症のIgG subclassの検討

東京女子医科大学 第二病理
* 本田 一穂、小田 秀明
腎臓病総合医療センター 病理検査室
堀田  茂、川島 真由子、中山 英喜
内科
渡辺 喜彦、二瓶  宏
泌尿器科
田辺 一成、東間  紘
外科
寺岡  慧
東京慈恵会医科大学附属柏病院 病理
山口  裕

【目的】 移植後膜性腎症の臨床病理学的意義とIgG subclassの意義を明らかにする。
【対象・方法】
女子医大腎センターで1996年から2001年の5年間における移植腎生検で、膜性腎症と診断された7症例を臨床病理学的に検討した。IgGのsubclassは凍結切片を用いた蛍光抗体法で検討した。
【結果】 7例はすべて男性で、原疾患は1例がIgA腎症で他は不明。年令は25−48才(平均41.1才)、移植からの経過年数は0.5ヶ月から12年(平均59.4ヶ月)、いずれも尿蛋白が陽性であった。(3例は尿蛋白増加のため生検されている。)蛍光抗体法では7例中IgGが全例で、C3は5例で陽性。IgGのsubclassの検討では、IgG1は全例で陽性、IgG2, IgG3は全例で陰性、IgG4は3例で陽性であった。IgG4の陽性例の移植後経過期間は3ヶ月、4年、12年とばらつきがあった。電顕的にはいずれも上皮側にdepositを認めたが、少数で細かいものが多く一部はelectron lucentであった。しかし、IgG4陽性例はdepositが大きく分布も多い傾向が見られた。
【結論】 移植後膜性腎症は、移植直後から長期にわたり、いずれの時期にも存在し、蛋白尿を伴うもののネフローゼ症候群をきたすことは稀であった。IgG subclassはIgG1単独のものとIgG1とIgG4が混在するものがあり、後者は電顕的により膜性腎症として典型所見を呈した。

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