移植後早期のC4dの沈着および抗ドナー抗体の経時的変化

東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 外科
* 阿部 正浩、中島 一朗、渕之上 昌平、寺岡  慧
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 病理検査室
堀田  茂
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター 泌尿器科
田辺 一成、東間  紘
東京慈恵医科大学柏病院 第2病理科
山口  裕

 急性拒絶反応から、移植腎機能廃絶に至る症例を経験する。この様な症例において、補体古典的経路活性化を反映するC4dの傍尿細管毛細血管(以下PTC)への沈着と抗ドナー抗体を経時的に検討した。生体腎移植後入院中に、ABO適合移植で急性拒絶反応から1群)移植腎機能廃絶に至った症例(4症例)、2群)血管性拒絶反応に対し治療として体外循環を必要とした症例(11症例)、ABO不適合移植で急性拒絶反応から3群)移植腎機能廃絶に至った症例(7症例)、4群)血管性拒絶反応に対し治療として体外循環を必要とした症例(10症例)を対象とした。PTCへのC4dの沈着は蛍光抗体法により行い、抗ドナー抗体の検出はフローサイトメトリーにより行った。2群)は1群)に比べ、初回の生検 よりその後の生検でC4dの沈着は有意に軽減されている。3群)では、軽減する1症例を認め、4群)では、4症例に改善を認めた。また、3および4群)のABO不適合移植では初回の生検 で全症例にC4dの沈着を認めた。以上より、C4d沈着の経時的変化は特にABO適合移植において、急性拒絶反応の早期予後の判断に有用であると考えられる。

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