腎移植患者における抗血管内皮細胞抗体測定の意義

新潟大学 泌尿器科
* 中川 由紀

【目的】 拒絶反応を予測し回避することは移植において重要課題である。拒絶反応時標的細胞となりうる血管内皮細胞に着目し、抗血管内皮細胞抗体の発現と臨床経過を相対し検討した。
【対象と方法】
対象は腎移植患者22症例(拒絶反応群16例、無拒絶反応群6例)。サイトカイン(TNF-α)で刺激したヒト血管内皮細胞(腎糸球体内皮細胞、臍帯静脈内皮細胞、皮膚微小血管内皮細胞)を移植前から経時的に採取した血清中の抗血管内皮細胞抗体の存在をELISA法にてスクリーニングした。
【結果】 (1)ヒト腎糸球体血管内皮細胞に対する抗体陽性率は無刺激群、サイトカイン刺激群共に拒絶反応群が無拒絶反応群に比して有意に高かった。臍帯静脈血管内皮細胞に対する抗体価はサイトカイン刺激群のみで有意差を認めた。(2)拒絶反応群の中でも、複数回拒絶反応を繰り返した群では単回群に比して有意に高値を示した。(3)拒絶反応群は、無拒絶反応群に比して術前の抗体価が高値を示していた。
【結論】 腎移植拒絶反応と血中抗血管内皮抗体陽性率との間に有意の相関性を示す結果 が得られた。特に微小血管内皮細胞を用いた抗体測定は有意義といえる。

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