移植腎におけるポリオーマウイルス腎症とT細胞性拒絶反応の鑑別の試み:B-HOT panelによる解析
Attempt of differentiate between PVN and TCMR in transplanted kidney, analysis using B-HOT panel

市立札幌病院 病理診断科
* 辻 隆裕、石井 保志、山口 貴子、片山 優子、青山 怜史
北海道大学大学院医学研究院 統合病理学
畑中 宏太、岩崎 沙理、田中 秀五、片山 優子、田中 敏、谷口 浩二
市立札幌病院 腎臓移植外科
田邉 起、佐々木 元、原田 浩
札幌北楡病院 腎臓移植外科
三浦 正義
はらだ腎泌尿器クリニック
原田 浩

【背景】腎移植における主要な合併症として拒絶反応や感染症があるが、この内、T細胞性拒絶反応(TCMR)とBKポリオーマウイルス腎症(PVN)は頻度が高い。両者は異なる機序で発生し治療方針が異なるにも関わらず、類似した尿細管間質炎を示すため、ポリオーマウイルスのT抗原を認識する免疫組織化学が行われているものの、しばしば鑑別が困難である。両疾患の免疫学的、生化学的特徴を明らかにすることで、さらなる病態の解明と、より簡便な鑑別手法の開発が可能となる。
【目的】PVNとTCMRにおいて免疫応答を構成する細胞や活性化しているpathwayなどの差異を明らかにする。
【方法】PVN、TCMRの移植腎生検組織について、FFPE組織よりnCounter法を用いてBanff Human Organ Transplan(t B-HOT)gene panelの770遺伝子発現データを得た。各種データ解析手法を用いて、各群が特に免疫系においてどのような特徴を有しているのか調べた。
【結果】PVN群では、TCMR群に比してT細胞性の免疫応答やサイトカインの発現はやや低く、B細胞性シグナル伝達pathwayについてはやや高い傾向を示した。

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