生体腎移植から2年9ヶ月後ウイルス感染を契機にcollapsing FSGSを発症した1例
A case of de novo collapsing focal segmental glomerulosclerosis following viral infection in a kidney transplantation recipient

岐阜大学医学部附属病院 泌尿器科
* 川瀬 真、岡本 文香、加藤 大稀、西脇 哲平、星野 弘樹、榎本 虎偉、富岡 奨幸、谷口 友規、川瀬 紘太、加藤 大貴、中根 慶太、古家 琢也

 症例は47歳男性。30歳時、糖尿病を指摘されたが通院しなかった。35歳時、全身倦怠感を自覚し、近医を受診した。HbA1c 10.0と高値を認め、糖尿病と診断された。内服治療、その後インスリン治療を開始した。40歳時、腎機能の悪化を認め、血液透析導入となった。43歳時、生体腎移植を希望し当科を受診した。44歳時、妻をドナーとした生体腎移植を施行した。手術時間5時間49分、温阻血時間8分8秒、総阻血時間1時間18分、初尿12分であった。移植後の経過に問題はなく術後19日で退院となった。移植後2年6ヶ月までの間、血清クレアチニン(Cre)は1.5-1.7mg/dL程度を推移していた。X-1年8月COVID-19、X-1年12月インフルエンザに罹患した。インフルエンザ罹患中に14日程度、免疫抑制剤を内服しなかった。その後Cre上昇傾向、尿蛋白増加を認めた。移植腎生検の同意が得られず、X年3月Cre 3.1 mg/dL、尿蛋白3+となった。怠薬による拒絶反応を第一に考えた。抗HLA抗体スクリーニング検査はclass1/2ともに陰性であった。X年4月に生検の同意が得られたため、移植腎生検を施行し、直後からステロイドパルス・血漿交換の治療を開始した。Creは上がり止まったが、移植腎生検後14日で生検結果が判明し、collapsing FSGSの診断となった。今後リツキシマブ・アフェレーシスを検討している。移植腎に発生したcollapsing FSGSを経験したので文献的考察を含めて報告する。

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