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再発性C3腎炎の発症から移植腎廃絶までの臨床経過と病理像を検討し得た一例
Clinical course and pathology of recurrent C3 glomerulonephritis from onset to graft ross |
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日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 腎臓病総合医療センター |
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小林 アズサ、齋藤 尚二、新城 響、井口 大旗、根岸 圭、二村 健太、岡田 学、平光 高久、鳴海 俊治、渡井 至彦 |
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増子記念病院 |
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ごとう内科・腎移植内科クリニック |
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【症例】45歳男性。26歳時に尿蛋白を指摘、28歳時にネフローゼ症候群、血清C3低下を認め、膜性増殖性糸球体腎炎と診断された。プレドニゾロン、シクロスポリンで治療を行うも腎機能は進行性に悪化し、35歳時に姉をドナーとしたABO適合生体腎移植を施行された。免疫抑制はプレドニゾロン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルで行われた。移植後の経過は良好で、尿蛋白も陰性化した。1時間後生検では異常所見なく、蛍光免疫染色も全て陰性であった。移植後3週生検では、メサンギウムにC3のみ沈着を認めた。移植後1年生検では軽度のメサンギウム細胞増多と係蹄内に好中球および単核球の集積を認め、メサンギウムやパラメサンギウムに加え、基底膜内やhump様の上皮下depositsもみられた。蛍光免疫染色ではC3のみがメサンギウム、一部係蹄に強く陽性であった。電顕では大小様々な淡い高電子密度沈着物がメサンギウム、基底膜内、上皮下に沈着していた。原腎生検も同様の形態異常を呈しており、再発性C3腎炎と診断した。ステロイドパルスを行い尿蛋白は陰性化し、免疫抑制は変更なく継続した。以後安定していたが、移植8年後から蛋白尿が出現し、sCr 2.0 mg/dLと腎機能低下したため、移植9年10ヶ月後にエピソード生検が施行された。多くの糸球体が高度なメサンギウム拡大としみ込み病変病変を伴って分節性硬化に至り、上皮細胞の高度なcappingもみられた。保たれた糸球体で管内細胞増多や係蹄の二重化はみられなかった。細動脈には高度な内皮下hyalinosisがみられ、一部aahを呈していた。再発性C3腎炎の活動性病変はみられなかったため、免疫抑制の強化は行わず保存治療を継続した。徐々に腎機能低下し移植10年8ヶ月後に血液透析導入となった。
【結語】C3腎炎の腎移植後再発は50%以上にみられ、時に治療抵抗性を示し、移植腎廃絶の原因となりうる。本例は移植3週後にはC3のメサンギウム沈着がみられ、1年後には多数のdepositsと管内細胞増多を呈した病変に進展したが、ステロイドパルスの追加のみで尿蛋白陰性を長期間維持した。移植9年後生検では活動性病変はなく、細動脈病変による二次性のFSGSを呈していた。C3腎炎の再発から移植腎廃絶までの病理組織像を経時的に評価し得た症例を報告する。 |
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