腎移植後de novo腎炎を発症した小児例
A case of de novo glomerulonephritis after pediatric kidney transplantation

独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 小児外科
* 高橋 雄介
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 小児科
清水 順也
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 腎臓移植外科
藤原 拓造
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科
神農 陽子

【症例】5歳、女児。2歳時、O157感染からHUSを発症。不可逆的な腎機能障害となり血液透析からそのまま腹膜透析に移行した。3歳8ヶ月時、腎移植を希望され前医より当科紹介となり献腎移植登録を行った。
5歳時、献腎移植施行。ドナーは10代女性、TIT565min、初尿は24minであった。術後経過は順調で術後4日のCcrは137.6ml/min/1.73m2、尿蛋白も0.74g/dayであったが、術後9日にCreの軽度上昇とともに18g/gCreの尿蛋白が出現した。拒絶反応を疑いメチルプレドニゾロンパルスを3日間施行。施行後は速やかにタンパク尿は改善した。術後15日に移植腎生検を施行。光顕所見では拒絶反応やFSGSを疑わせる所見はなく、毛細血管内に軽度のマクロファージ浸潤を認めるのみであった。蛍光抗体は全て陰性であった。電子顕微鏡所見では足突起の消失を30%に認め、毛細血管腔に軽度の好中球・マクロファージの浸潤を認め、ステロイドパルスによる修飾はあるものの管内性細胞増多が蛋白尿の原因と考えられた。その後高容量のステロイドによる後療法を行い、慎重に減量を行ったが再発を認めることなく寛解している。
【まとめ】腎移植後に起こる原疾患と関連のない腎炎はde novo腎炎と定義されるが、その予後は腎炎の病型により様々である。本症例のように微小変化型のde novo腎炎はステロイドに対する反応も良好で予後も良いとされる。

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