腎移植6年後にM蛋白血症を伴い蛍光抗体法でフルハウスパターンを認める糸球体腎炎を発症した1例
A case of glomerulonephritis with M-proteinemia and showing a full-house immunofluorescence pattern at 6 years after renal transplantation

東京医科大学八王子医療センター腎臓病センター 腎臓内科・血液浄化療法室
* 山田 宗治、内田 貴大、山田 斎毅、尾田 高志
東京医科大学八王子医療センター腎臓病センター 腎臓外科
沖原 正章、赤司 勲、木原 優、今野 理、岩本 整
聖マリアンナ医科大学 病理診断科
小池 淳樹
山口病理組織研究所
山口 裕

39歳男性、IgA腎症を原疾患とした末期腎不全でX年2月父をドナーとした血液型不適合生体腎移植を実施。術前血液型不適合のためリツキサン投与およびDFPP2回施行。CsA、mPSL、MMFの3剤で維持療法開始、X+1年7月mPSL中止しサーティカンの併用を開始。以降血清Cr値1.5〜1.7程度で安定し経過していたが、X+5年3月頃より尿蛋白が1g/gCr台へ増加傾向となり同時に軽度の血尿が出現。X+6年3月血清Cr値が1.9に上昇したため再発IgA腎症を疑い同年5月腎生検実施。光顕ではメサンギウム領域の拡大、一部メサンギウム細胞増殖および係蹄の二重化の所見を認め、電顕ではパラメサンギウム領域・内皮下に高電子密度沈着の所見を認めたが、蛍光抗体法ではIgG++, IgA+, IgM+, C3++, C4+, C1q+++陽性とフルハウスパターンを認めた。追加で実施したIgGサブクラス染色ではIgG3が優位に陽性、κλ染色では双方陽性でmonoclonalityなく、コンゴレッド染色は陰性であった。一方血液検査ではIgG-λ型のM蛋白、尿検査でBence Jones-λ型M蛋白を認めた。C3/C4/CH50 64.3/21.6/41.0、抗ds-DNA抗体は陰性でSLEの診断基準は満たさなかった。骨髄検査は、形質細胞3.8%でMGUSの診断。mPSL4mgを追加し、尿蛋白1g/gCr前後、血清Cr値1.6程度で経過している。最終診断に苦慮している症例で組織学的な解析と文献的な考察を追加し発表する。

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