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移植後長期生着例の腎機能増悪は慢性抗体関連型拒絶、CNI毒性などが多く、怠薬を除くとT細胞関連型拒絶を呈することは少ないと思われる。今回移植18年目で腎機能の急速増悪を認め、移植腎生検にてT細胞関連型拒絶も鑑別に残る尿細管・間質障害が顕著な組織像を呈した症例を経験したので提示する。
症例は50代男性で、25年前慢性糸球体腎炎の臨床診断で透析導入されていた。X-18年に母(レシピエント+20歳)をドナーとする血液型適合生体腎移植を他院で施行された。X-14年より当院に通院を開始し、当時はCr1.4mg/dL、尿蛋白陰性、潜血陰性であった。X-12年の移植腎病理でIgA腎症の診断となり、原疾患IgA腎症の再発と判断、扁桃摘出術をおこなった。その際ステロイドパルスは施行されなかった。X-5年、X-2年の腎生検では徐々にIFTAの進行があり、IgA腎症の活動の結果およびCNI毒性と考えられた。その後Crは1.6-1.8mg/dLで推移していたが、X年、明らかな感染症等既往などなく倦怠感と嘔気が出現し、腎機能もCr7.5mg/dLと急激に悪化したためエピソード生検となった。その際血尿はなく、蛋白尿は1.2g/gCrであった。倦怠感、嘔気等で摂食は不良であったが怠薬はなかった。
光顕材料の糸球体は14個含まれ、全節性硬化は6個、糸球体炎はなかった。尿細管は萎縮が目立ち、萎縮の無い部分でも高度の尿細管炎、間質炎をともなっていた(i3, t3)。このほか尿細管上皮は平坦化、嚢胞状拡張、脱落がみられた。炎症細胞はリンパ球が主体であるが形質細胞、好酸球も比較的多く見られた。血管では、内膜炎、有意なptcitisもなかった。
i3, t3でTCMRは鑑別に残るものの炎症細胞が多彩な印象で、拒絶以外の尿細管間質性腎炎(薬剤性など)が鑑別にあがった。蛍光抗体法は陰性であった。ステロイドパルスとその後ステロイド内服をしつつ臨床的に精査したところDLSTでエボカルセトが強陽性で、総合的に薬剤性間質性腎炎と判断した。エボカルセトはX-1年4ヵ月より明らかな副甲状腺腫大を認めないが、高PTHによる高Ca血症に対して1mgより投与開始され、6mgまで漸増されていた。加療にてCr値は3.5mg/dLまで低下したがそれ以上の改善は認めていない。 |