移植後再発性IgA腎症のメサンギウムC1q沈着における臨床病理学的検討
Clinical and pathological analysis of mesangial C1q deposition in recurrent IgA nephropathyafter kidney transplantation

東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
* 林 綾香、山本 泉、川邊 万佑子、勝俣 陽貴、上田 裕之、坪井 伸夫、大城戸 一郎、横尾 隆

【背景】原疾患IgA腎症の腎移植では、プロトコル生検を実施した場合、腎移植後5年で約半数にIgA腎症再発が認められる。移植後再発性IgA腎症は移植腎予後に関連することが知られているが、再発性IgA腎症における腎予後に関連する病理学的所見に関しては不明な点も多い。従来、NativeのIgA腎症ではメサンギウムC1q沈着は稀で、補体活性3系統のうちalternative経路およびレクチン経路の関与を主体とする。しかし、最近の報告では、メサンギウムC1q沈着は、@NativeのIgA腎症における治療抵抗性や腎機能予後悪化と関連することや、A原疾患IgA腎症の腎移植患者において腎予後不良因子であると報告されており、古典経路の重要性が強調されている。今回我々は、当院で経験した移植後再発性IgA腎症におけるC1q沈着について検討した。

【方法】当院で2000年から2021年の間に移植後再発性IgA腎症と診断された腎移植患者18症例に対し、免疫蛍光染色によるメサンギウムC1q沈着における臨床病理学的検討を行った。

【結果】移植後再発性IgA腎症18例のうち11例(61.1%)がメサンギウム領域に有意なC1q沈着を認めた。NativeのIgA腎症におけるC1q陽性率は0〜45%(Lee HJ et al. Clin Nephrol. 2013 Aug;80(2):98-104.)と施設間でばらつきがあるものの、概ね10%前後とする報告が多く、移植後再発性IgA腎症でC1q陽性例が多く認められた。

【結論】NativeのIgA腎症と比較し、移植後再発性IgA腎症では有意にメサンギウム領域へのC1q沈着が多く認められた。再発性IgA腎症におけるC1q沈着とその臨床学的意義について更なる検討が望まれる。

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