腎移植後IgA沈着症の異質性に関する検討
A clinicopathological study on heterogeneity of IgA deposition after kidney transplantation

香川大学 循環器・腎臓・脳卒中内科
* 祖父江 理
東邦大学医療センター大森病院 腎センター
小口 英世
聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
谷澤 雅彦
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科
辻田 誠、二村 健太
増子記念病院 腎臓内科
辻田 誠
友愛医療センター 腎臓内科
西平 守邦
熊本赤十字病院 腎臓内科
豊田 麻理子
順天堂大学附属浦安病院 腎・高血圧内科
鈴木 仁

【背景】腎移植後の検尿異常を伴わない『IgA沈着症』は異質性の高い集団である。糖鎖異常IgA1解析によるIgA沈着症進展リスク予測を目的として研究を行った。

【方法】多施設共同研究にて移植腎生検を施行した164名のうち、移植腎生検にてIgA沈着が確認された46例と背景 因子をマッチさせた60例を比較した。IgA沈着群はKM55とC3の陽性/陰性にて4群に分類し比較した。

【結果】IgA沈着群は組織学的には軽微な変化であった。移植後経過月数は中央値17か月。KM55陰性/陽性群間で蛋白尿・血尿陽性率、eGFR値に有意差はなかった。C3陽性率はKM55陰性群で31%、KM55陽性群で57%と陽性群にて高率であった。IgA単独、C3単独、KM55単独陽性例では、IgA陰性例と比較して血清gd-IgA1に有意差はなかった。KM55陽性C3陽性症例では、血清gd-IgA1値は他の群に比べ有意に高値であった。尿中gd-IgA1でも同様の傾向がみられた。また、再生検にてIgA沈着が残存している症例では消失例と比較して血清糖鎖異常IgA1は高値であった。

【結語】KM55/C3染色と血清/尿中糖鎖異常IgA1によって腎移植後無症候性IgA沈着症の性質を評価しうる可能性が示唆された。

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