移植腎に発生したビスホスホネート製剤が誘因と疑われた肉芽腫性尿細管間質性腎炎の一例
A case of Granulomatous tubulointerstitial nephritis suspicious due to Bisphosphonate in a kidney transplant recipient

京都大学医学部附属病院 腎臓内科
* 坂井 薫、杤尾 明、柳田 素子
京都大学医学部附属病院 泌尿器科
澤田 篤郎、小林 恭
京都大学医学部附属病院 病理診断科
南口 早智子

 肉芽腫性尿細管間質性腎炎 Granulomatous tubulointerstitial nephritis(GIN)は腎生検のうち1%弱に認める比較的まれな所見であり、感染症・薬剤性・サルコイドーシス・Wegener 肉芽腫・間質性腎炎ブドウ膜炎症候群などが原因とされている。移植腎に発生するのは非常に稀で不明な点が多い。今回、移植腎に発生したGINの1例を経験したので報告する。症例は30歳代男性。2年前に薬剤性間質性腎炎(疑)を原疾患とする末期腎不全に対して6歳年長の姉をドナーとするABO不一致適合生体腎移植術施行。初期免疫抑制はTAC、MMF、MPZ、basiliximabの4剤。術後3 ヶ月目定期生検では拒絶反応所見認めず、腎機能はsCr1.5mg/dl(eGFR45ml/min/1.73m2)前後で経過された。術後17 ヶ月の定期生検で間質に多核巨細胞を伴う非壊死性肉芽腫性尿細管間質性腎炎を認めた。組織Grocott染色・Ziehl-Neelsen染色では病原体を検出せず、各種血清学的検査や尿培養検査からはサルコイドーシス・血管炎などは陰性所見であった。3 ヶ月目定期生検以降に開始した薬剤として、ビスホスホネート製剤が挙げられた。薬剤性GINの可能性を考慮し、ビスホスホネート製剤の休薬とプレドニゾロン30mg(0.5mg/kgBW)加療を開始し、現在外来フォロー中である。今後再生検予定である。文献的考察を踏まえて症例を提示する。

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