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献腎移植後の移植腎静脈血栓症に対し血栓除去術を施行し移植腎機能を保持し得た1例
A case report of venous thrombosis with immediate surgical thrombectomy after cadaveric kidney transplantation |
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兵庫医科大学病院 |
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兵庫医科大学 泌尿器科 |
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山田 祐介、貝塚 洋平、重坂 光二、田口 元博、大嶋 浩一、
中西 裕佳子、橋本 貴彦、鈴木 透、呉 秀賢、兼松 明弘、
野島 道生、山本 新吾 |
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大阪大学 腎臓内科 |
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桜橋医誠会クリニック |
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【緒言】移植腎静脈血栓症は、発症頻度は低いもののgraft lossとなる危険性が高く、重篤な移植後早期合併症とされる。今回、我々は献腎移植後に生じた移植腎静脈血栓症に対して、血栓除去術を施行し移植腎喪失を回避し得た1例を経験したので報告する。
【症例】40歳代、男性。原疾患不明、透析歴21年で脳死下献腎移植術を施行した。ドナーは40歳代女性、提供された腎は右腎で、レシピエントの左外腸骨動脈、左外腸骨静脈にそれぞれ端側吻合した。術後腎血流は良好であったが初尿は得られなかった。移植後8日目に拡張期血流の低下を認めたため拒絶反応を疑いステロイドパルス250mg×3日間投与。移植後11日目にエコーで拡張期の逆流と腎静脈本幹の血流信号消失を認めたため、移植腎静脈血栓が強く疑われた。緊急で開腹したところ移植腎は暗紫色で著明に腫大し、静脈は血栓で完全閉塞していた。術中2回の血栓除去を余儀なくされた。1回目:腎静脈に縦切開をおき動脈からユーロコリンズ液を注入して血栓除去を行い、腎の色調が回復、血流再開後は灌流状態良好となったが、移植腎を骨盤腔に収納する際に再度腎静脈血栓を生じ、腎の血流が途絶した。2回目:動脈・静脈吻合部をそれぞれ離断して再度血栓除去・灌流を行った。狭骨盤、肥満により腎静脈が並走する腎動脈と骨盤壁に挟まれ圧迫されていたため、腎動脈を内腸骨動脈と端々吻合することで動静脈の位置をずらし、腎の収納においては移植腎を内側に倒して腹直筋の直下に置き、静脈の圧迫を軽減させるようにして閉創した。術中に移植腎生検を施行したが糸球体を中心にうっ血性変化を認めた。術中より抗凝固療法を開始した。その後腎血流は良好で利尿が得られ、術後42日目に透析を離脱し、65日目にCre1.9mg/dlで退院した。
【考察】移植腎静脈血栓症の頻度は0.5 〜 3%といわれ移植後早期に生じることが多い。診断はエコーが有用で移植腎動脈での拡張期血流の逆転(to and fro pattern)が特徴とされ、自験例でも同様の所見と腎静脈血流の消失を認めた。今回の腎静脈血栓症の成因として腎静脈の圧迫のほか血小板増多、左腸骨窩への移植、右腎の移植、ステロイドパルスの関与が考えられた。治療は緊急開腹術による静脈血栓除去が必須であり自験例では迅速な診断と開腹手術により腎機能を保持し得たと考えられた。
【結語】献腎移植11日目に腎静脈血栓症を発症し、血栓除去術によりgraft lossを回避し得た1例を経験した。 |
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