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【背景】糖尿病(DM)性腎症は他腎疾患と比較し、高度の細小動脈病変を呈する。しかし非DMレベルでHbA1cと腎内細小動脈病変を病理学的に検証した研究はない。今回、生体腎移植のドナー腎生検標本を用いて、術前のHbA1cと病理所見の関係を検討した。
【方法】2005年1月〜 2016年6月に当院で0時間生検を施行した生体腎ドナー393名を横断的に調査した。ドナーをDM群及び非DM群に分け、非DM群はHbA1cの3分位で3群(T1, <5.6; T2, 5.6-5.7; T3, 5.8-6.5 %)に分け、細小動脈病変との関係を評価した。
【結果】対象集団は年齢55±12歳、推算糸球体濾過量85±9 mL/min/1.73 m2、HbA1c 5.7±0.4 %、24%に高血圧を認めた。細小動脈狭小化はHbA1cの上昇に伴い増加し、他の動脈硬化の危険因子を含む多変量調整後も有意であった[p for trend = 0.02, T3オッズ比(対T1)1.97;95%信頼区間 1.10-3.57, p = 0.02]。硝子様変化、狭小化いずれも、DM群でその病変の割合は高い傾向にあった。
【結論】非DMレベルでHbA1cと細小動脈狭小化の間に年齢や高血圧と独立した関係を認めた。非DMレベルでのHbA1cの上昇でもサブクリニカルな細小動脈狭小化が増加することが示された。 |