移植腎機能発現と腎尿細管における二重鎖DNA損傷に関する検討
Study on the relationship between renal graft function and double stand DNA damage on transplanted renal tubules

金沢医科大学 腎臓内科学
* 岡田 圭一郎、矢部 友久、藤井 愛、宮竹 敦彦、野村 佳苗、沖野 一晃、大串 勇気、向井 清孝、藤本 圭司、足立 浩樹、横山 仁

【目的】移植腎における腎尿細管の二重鎖DNA(dsDNA)と移植腎機能発現との関連について検討した。

【方法】当院で施行した腎移植レシピエント20例(生体腎10例, 献腎10例)を対象とした。移植0時間および1時間後の生検組織の尿細管について、DAPI(4', 6-Diamidino-2-Phenylindole)で細胞核を同定し、抗γH2AX抗体(γH2AX)を用いた免疫蛍光抗体法陽性率と移植腎機能発現遅延(DGF)および無機能腎(PNF)との関連を検討した。
DGFは、「腎移植レシピエントが移植後1週間以内に透析療法を必要とした場合」と定義した。

【結果】生体および献腎移植の0時間および1時間後のγH2AX陽性率は、それぞれ42%、45%および27%、44%であり、0時間γH2AX陽性率とその変化率(⊿1hr-0hr)は生体腎、 献腎移植例ともに負の相関を示した(生体腎r=-0.7917, 献腎r=-0.4394)。一方、1時間生検γH2AX陽性率とその変化率(⊿1hr-0hr)は、献腎移植例において正相関(r=0.9347)を示すとともにDGFおよびPNF群では、変化率(⊿1hr-0hr)が増加傾向を示した。

【結論】生体腎移植に比して献腎移植とくにDGFおよびPNFでは、移植後のdsDNA障害に示される尿細管障害が進 行し、その機能発現がより遷延している可能性が示唆される。

スライド

戻 る  ページの先頭