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【背景】polar vasculosisは糖尿病性腎症の代表的な所見の一つと考えられており、腎移植患者のpolar vasculosisは糖尿病性腎症再発の指標として知られている。しかし、polar vasculosisは糖尿病性腎症以外の症例においても認めることが報告されており、その臨床病理学的意義は明らかでない。
【方法】2007年1月から2017年12月において東京女子医科大学病院腎センター病理において腎生検診断を行われた9004例の生検標本を対象とした。168症例(189標本)でpolar vasculosisを認めた。0時間生検でpolar vsculosisを呈した36症例(47標本)を除外し、129症例(143標本)をpolar vasculosis群とした。また年齢、移植後日数をマッチさせた130症例をコントロール群とした。両群についての臨床所見、病理所見についての検討を行った。
【結果】polar vasculosis群では、男性90例、女性39例、年齢の平均は49.0±14.0歳であった。ABO非適合移植は53例、献腎移植は5例であった。ドナーの平均年齢は60.1±9.4歳であった。腎生検時の移植後日数の平均は1850.1±2235.7日であった。糸球体肥大(最大径≧250μm)を30例で認め、Banff scoreの平均はそれぞれmm score 0.39±0.69, ci score 0.79±0.87, ah score 1.68±1.03, aah score 1.06±1.12であった。18例で抗体関連型拒絶を認めた。T細胞関連型拒絶は全例で認めなかった。Polar vasculosis群では、コントロール群と比べ糸球体肥大、mm score, ah score, aah scoreが優位に高かった(P<0.001)。年齢、ドナー年齢、糸球体硬化、ci score、小葉間動脈の線維性肥厚、拒絶については両群で有意差を認めなかった。
【結論】移植腎生検におけるpolar vasculosis病変はCNI毒性と関連する可能性が示唆された。 |