生体腎移植後にatypical anti-GBM腎炎再発と診断した1例
A case of recurrent atypical anti-GBM disease after renal transplantation

名古屋第二赤十字病院 移植外科・移植内科
* 磯部 伸介、平良 翔呉、中村 祐貴、友杉 俊英、二村 健太、
岡田 学、平光 高久、辻田 誠、鳴海 俊治、後藤 憲彦、渡井 至彦
名古屋第二赤十字病院 腎臓内科
平松 絵美子、渡辺 裕、伊藤 千晴、田中 章仁、新城 響、大塚 康洋、
武田 朝美

 症例は70歳男性。28歳頃より蛋白尿、血尿を指摘されていた。64歳時にsCr 1.3mg/dL、血尿を伴うネフローゼ症候群のため経皮的腎生検施行。巣状分節性球体硬化症の診断にてMPパルス、MZR、LDL吸着にて加療行われたが効果を認めず、66歳で血液透析導入となった。69歳の時、弟をドナーとする生体腎移植が行われた(A → A,維持免疫抑制薬 PSL, CyA, MMF)。移植後1ヶ月生検では管内細胞増多およびメサンギウム細胞融解を認めた(sCr 1.2mg/dL, 蛋白尿 0.5-0.6g/day, 血尿 10-19/HPF)。移植後3ヶ月までに尿蛋白は2.5-4.5g/dayと悪化認めエピソード生検を行った。光学顕微鏡所見にて壊死性血管炎を認め、蛍光抗体ではIgGが係蹄壁に沿って線状に陽性であった。血清学的にはANCA、抗GBM抗体は陰性でありatypical 抗GBM抗体腎炎と診断した。自己腎生検の検体を取り寄せ再検討を行った。管内細胞増多、メサンギウム細胞融解を伴うTMA病変による二次性の巣状分節性硬化症と考えられた(蛍光抗体所見は画像、検体の残りなし)。
 MP 500mgパルス3日間、PEX 3回、リツキサン200mg/bodyにて加療行うも改善なく蛋白尿は4-6g/day、尿潜血陰性、sCr 1.3-1.5mg/dLで経過した。移植後1年時点でのプロトコール生検では管内細胞増多やメサンギウム細胞融解からの進展と考えられる分節性の硬化像が散見された。

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