治癒したBKV腎症の腎組織経過の検討
Pathological course of treated BK virus nephropathy

東京都保健医療公社大久保病院
* 河野 桃子
東京都保健医療公社大久保病院 腎内科
今泉 雄介、大久保 里枝、小川 ひな、吉川 佳奈恵、石渡 亜由美、
斎藤 誉子、長谷川 純平、佐野 夏帆、亀井 唯子、川西 智子、
阿部 恭知、遠藤 真理子、若井 幸子
東京都保健医療公社大久保病院 移植外科
白川 浩希

 症例は原疾患慢性糸球体腎炎疑いの47歳女性。15歳血液透析導入、16歳献腎移植施行。31歳gusperimus 200mgを投与されたが、その後も腎機能低下が続き、42歳母親をドナーとする血液型適合二次移植を行った。免疫学的にはHLA 2ミスマッチ、リンパ球クロスマッチはCDC、FCXMともに陰性、DSAも陰性であった。免疫抑制剤はTacrolimus、Mycophenolate Mofetil(MMF)、Methylprednizolone、Basiliximab、Rituximabを使用し、DFPPを1回行った。
 術後242日目、Cre 1.50mg/dlに上昇、CMV血症を認め、MMFをmizoribine(MZ)に変更しGCV、IVIGで治療を行った。CMV血症は軽快したもののCre 1.7mg/dlまで上昇を認め、術後270日目の腎生検で、SV40陽性、BKV腎症(stageB)の診断となり、血中BKVは7600 copy/ml、尿中BKV 280000 copy/mlであった。TacrolimusをCyclosporineAに変更し、IVIG療法を行った。術後291日目の腎生検では同所見継続していたが、血中のBKVは陰性化し、Cre 1.3 mg/dl台と腎機能の改善も認めた。腎生検は術後445日目で改善傾向がみられ、術後629日目で、BKV腎症所見は消失した。尿中BKVも徐々に低下し100 copy/mlとなった。
 BKVは腎移植後の免疫抑制療法下の5〜20%の患者に再活性化をきたしBKV腎症を起こし、その50〜80%の症例で移植腎機能廃絶をきたすと報告されている。今回BKV腎症の治癒過程の腎組織を報告する。

スライド

戻 る  ページの先頭