Alport症候群を原疾患とする腎移植例の移植腎予後と病理組織学的変化
Histopathological changes and allograft survival in patients with Alport syndrome

東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
* 勝馬 愛、中田 泰之、山本 泉、川邊 万佑子、山川 貴史、
勝俣 陽貴、眞船 華、小林 賛光、丹野 有道、大城戸 一郎、
坪井 伸夫、横尾 隆
厚木私立病院 内科
山本 裕康
東京女子医科大学 腎センター
堀田 茂
東京女子医科大学 泌尿器科
奥見 雅由、石田 英樹、田邊 一成

【背景】Alport症候群(alport syndrome: AS)はIV型コラーゲンの遺伝子欠損により、糸球体基底膜(glomerular basement membrane: GBM)の異常、進行性の腎障害を呈する。一般的に、ASは腎移植後に再発しないとされ、移植腎予後は他の腎疾患と比し良好とされるが、AS再発に着目した臨床病理学的研究は少ない。今回我々はGBMにおけるIV型コラーゲンの発現に注目し、腎移植後長期例における病理組織学的変化と移植腎予後を評価した。
【方法】ASを原疾患とし、東京女子医科大学泌尿器科および東京慈恵会医科大学腎臓高血圧内科の2施設で腎移植術を施行した21例を対象に、同等の臨床背景を持つ51例のコントロール群と比較検討した。移植後長期例の腎生検凍結切片に対し、IV型コラーゲンα2鎖、α5鎖の二重染色にてAS再発を評価した。移植腎予後はKaplan-Meier法、log rank検定で評価した。
【結果】AS群とコントロール群で移植腎予後の有意差は認めなかった(log rank検定:p=0.7067)。腎移植後長期例においてもα5鎖染色はGBMに沿ってlinear patternであり、欠損を認めなかった。
【結論】ASの移植腎予後は良好であった。移植後長期例においてもGBMでのIV型コラーゲン異常は見られず、ASの再発は確認されなかった。

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