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今回我々は、移植腎組織における直細動脈(Vasa Recta)の硝子化病変(Vasa recta hyalinosis: VRH)に注目し、その臨床病理学的意義を検討することを目的とした。2012年1月〜 2015年12月に当院で移植腎生検を施行した、当院移植症例の移植腎生検検体で、vasa rectaが観察可能な検体を解析対象とした。臨床的に糖尿病と診断されている症例は除外した。移植後8年目以降の生検検体で、vasa rectaが観察される31検体で、VRH+群(13例)、VRH−群(18例)に分け、比較検討を行った。
VRH+、−群で、生検年代(移植後月数)は有意な差を認めなかった。VRH+群(13例)のうち、aah3は9例、aah2は4例、aah1, 0はなし、輸出細動脈硝子化が12例で観察された。VRH−群(18例)のうちaah3はなし、aah2は6例、aah1は8例、aah0は4例であり、輸出細動脈硝子化は1例で観察された。移植後晩期の腎組織におけるvasa recta hyalinosisは輸出細動脈まで硝子化病変がおよぶ重症なaah病変と関連する可能性がある。 |