移植後早期に発症したde novo巣状糸球体硬化症の1例

熊本赤十字病院 総合内科
* 川端 知晶、豊田 麻理子、上木原 宗一
熊本赤十字病院 外科
日高 悠嗣、山永 成美
熊本赤十字病院 救急科
井 清司
名古屋第二赤十字病院 腎臓内科
武田 朝美

【症例】36歳男性。15歳時に蛋白尿を指摘され、腎生検でIgA腎症と診断された。2011年5月に腹膜透析開始、約1年後に血液型不適合生体腎移植術を行った。ドナーは59歳母親で、術前の尿検査や腎機能は異常なく、高血圧などの既往はなかった。免疫抑制剤はステロイド、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、Basiliximabを使用し、術前に4回の血漿交換(DFPP3回、PEX1回)とRituximab投与(200mg/回、-13d、-1d)を行った。移植直後より1日1g程度の蛋白尿が持続し、Cr2-2.4mg/dlを推移した。1h生検ではドナーの高度な細動脈硬化性変化を認め、術後20日目生検では、軽度の傍糸球体装置の肥大と中膜細胞の空胞変性を認めた。その後徐々に蛋白尿が増加したため、術後81日目に再度腎生検を行ったところ、高度なFSGSを呈する糸球体を認めた。その後、ネフロー ゼ症候群は呈さないものの蛋白尿は持続し、徐々に移植腎機能が悪化した。最終的に移植後2年1ヶ月でgraft lossに至った。
【考察】動脈硬化性変化の強いグラフトに、ドナーレシピエントミスマッチ(体格差、性差、年齢差)や高血圧、レシピエントの移植後体重増加などの因子が加わり、hyperfiltrationを来しde novo FSGSを発症したと考えられた。


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