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【目的】慢性抗体関連型拒絶反応は、今日においても移植腎喪失の最大の原因であり、その主たる組織像はTransplant glomerulopathy(TGP)である。TGPは腎機能低下と伴に出現することが多いが、subclinicalにTGPと診断されるケースもある。今回我々はTGPと診断された生検標本でのバンフ分類に基ずいた組織学的因子と、生検時の移植腎機能及び蛋白尿との関連をレトロスペクティブに検討した。
【方法】2005年から2013年にかけて、東京女子医大泌尿器科、戸田中央総合病院泌尿器科、大久保病院泌尿器科で合計871例の生体腎移植を施行した。これら871例のうち59例(6.7%)のレシピエントが、計127回の腎生検でTGPと診断された。腎機能として生検時のestimated glomerular filtration rate(eGFR)を用いた。また蛋白尿は尿定性所見1以上を陽性とした。
【結果】TGPの重症度はcg1:72例、cg2:37例、cg3:18例であった。ciスコアーのみ腎機能低下と有意な関連を認めた(ci0: 45.8±2.5mg/dl、ci1: 40.9±1.7mg/dl、ci2: 27.8±2.2mg/dl、ci3: 27.6±4.1mg/dl、p<0.0001)。一方でg, ptc, i, cg, ptcbm, ah, C4dのグレードと腎機能の間には関連は認めなかった。蛋白尿に関しては、cg, ahの重症度と蛋白尿発現率との間に有意な関連を認めたが(cg: p=0.0003、ah: p=0.03)、ciを含めその他の組織学的所見との間には関連を認めなかった。
【結論】TGPを呈する慢性抗体関連型拒絶反応における腎機能は、TGPの程度如何に関わらず、間質の線維化(ciスコアー)の程度に影響さることを明らかにした。 |