ネフローゼで発症し高度な移植糸球体炎を呈したAAMRの1例

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
新城 響、伊藤 衣里、亀谷 直輝、加藤 明子、水谷 南美、下串 浩矢、田中 章仁、大塚 康洋、稲熊 大城、武田 朝美
名古屋第二赤十字病院 移植・内分泌外科
二村 健太、岡田 学、平光 高久、山本 貴之、辻田 誠、後藤 憲彦、
鳴海 俊治、渡井 至彦
市立四日市病院 泌尿器科
橋本 好正
市立四日市病院 外科
倉田 信彦、蜂須賀 丈博

 43歳男性。IgA腎症による末期腎不全のため、移植39日前血液透析導入。移植前ダイレクトクロスマッチ陰性の母親をドナーとしたABO適合生体腎移植を施行。移植後333日目尿所見なし。376日目浮腫・蛋白尿3+とネフローゼ症候群を呈しており、腎生検を施行。
 急性拒絶反応を疑い、MMF増量・ステロイドパルス開始。病理で高度な移植糸球体炎およびFSGS病変を呈しており、急性抗体型拒絶反応を疑った。382日目当院に転院され、血漿交換2回、γグロブリン、rituximab200mg追加投与を行い、蛋白尿・浮腫は軽快。410日目尿蛋白陰性化。CMV D+/R−のハイリスクレシピエントであり、移植後1年以内の頻回感染にてMMFを中断・減量せざるを得なかった経過と転院後のsingle−antigen beadsの結果DSADQB1*0301陽性MFI6008と併せ、de novo DSA ClassII陽性化による急性抗体型拒絶反応と思われた。急性抗体型拒絶反応において高度な移植糸球体炎によるネフローゼ症候群を呈した文献報告は少なく、稀な症例を経験したため報告する。


戻 る  ページの先頭