一卵性双生児の弟から生体腎移植施行26年後に蛋白尿を認めた一例

東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科
* 齊藤 久さこ、濱崎 敬文、藤乗 嗣泰、南学 正臣
東京大学医学部附属病院 病理部
新谷 裕加子
東京大学医学部附属病院 泌尿器科・男性科
東 剛司、本間 之夫

【症例】60代、男性
【臨床経過】19XX年に他院にて腎炎(詳細不明)を指摘、12年後に血液透析導入となった。同年に一卵性双生児の弟をドナーとした生体腎移植を施行した。移植から10年後に尿蛋白2を認めたため移植腎生検施行しIgA腎症と診断され、ジピリダモール300mg/日を開始、その後尿蛋白は0.2-0.3g/gCreで推移していた。また感染時期は不明だがHCV陽性であった。移植から26年後に尿蛋白の増加(6.4g/gCre)、尿潜血3+を認めた。移植腎生検ではIgA腎症に加えde novo膜性腎症を考える所見を認めた。血中クリオグロブリンは陽性だったが明らかなMPGNを示唆する所見は認められなかった。
【考察】一卵性双生児間生体腎移植で長期生着後に複数の腎炎を合併した症例と考えられた。HCV陽性患者ではde novo膜性腎症やMPGNの可能性があるため蛋白尿の程度に変化を認める際に移植腎生検を行い精査するべきである。


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