生体腎移植13年後に認めた慢性活動性抗体関連型拒絶反応の1例

聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科
* 北島 和樹、佐々木 秀郎、中澤 龍斗、佐藤 雄一、力石 辰也
聖マリアンナ医科大学 診断病理
小池 淳樹
川崎市立多摩病院 病院病理部
小池 淳樹
聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
谷澤 雅彦、松井 勝臣、 河原崎 宏雄、今井 直彦、柴垣 有吾、木村 健二郎

 症例は35歳代男性。3歳時に遺伝性腎炎と診断され、19歳時に維持血液透析導入となっていた。2000年にABO血液型不適合生体腎移植術(ドナー:父)を施行した。移植前処置をDFPP3回およびPEX1回、導入免疫抑制療剤はタクロリムス(TAC)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ステロイドとし、脾臓摘出を追加した。移植直後は大きな問題なく、Cr:1.3mg/dl程度で経過していた。2004年にCr:3.12mg/dlと上昇を認めたためエピソード生検を行った。病理所見は“Chronic allograft nephropathy without rejection”であった。TAC減量後もCr漸増し、Cr:2.99mg/dlと高K血症を認めたため、TACを中止しMMFを500mg/日から1000mg/日に増量し、その後はCr:2.5mg/dl前後で安定した。
 ところが2014年1月にCr:3.12mg/dlとなり2度目のエピソード生検を行った。病理所見は“Chronic active antibody-mediated rejection(Banff’09 classification; i1, t0, g0, v0, ci2, ct2, cg3, cv0, ptc2, mm1 ah2, aah2, c4d0-1)” であった。追加施行したクロスマッチ検査所見はLC:陰性、FCXM:T・B細胞ともに陰性、LAB screen Single Antigen:ClassT 陰性、ClassU 陽性(DQ6 DQ8 DPw11陽性、ドナーのDQ DPは未検)であり血清学的にも抗体関連型拒絶反応に矛盾しない所見であった。DFPP3回およびステロイドパルス250mg/day 3日間+リツキシマブ100mgを投与した。その後Cr上昇は見られなくなり現在外来経過観察中(Cr:3.05mg/dl)である。
 治療効果を評価するための移植腎生検所見と文献的考察を加えて報告する。


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