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当院の腎臓移植外科で生検され、急性抗体関連拒絶あるいは慢性活動性抗体関連拒絶と診断された症例の臨床病理学的特徴をまとめた。2010年5月から2014年4月までの期間に生検された493例(プロトコル生検1197回、エピソード生検221回)を対象とした。病理組織診断は2013年に改定されたバンフ分類に基づいて行った。
急性抗体関連拒絶と確定診断されたのは10例であった。レシピエントは男性6例、女性4例、平均年齢36.1歳(22-54歳)で、ドナーは平均年齢53.1歳(40−61歳)であった。ABO不適合移植は4例であった。確定診断された生検の時期は移植後1ヶ月までが4例、1年から3年までが4例、5年以降が2例で、生検の種別はプロトコル生検3例、エピソード生検7例であった。C4d陰性は2例であった。抗ドナー抗体はクラスI陽性が4例、クラスII陽性が3例、クラスIとII両方陽性が3例であった。
慢性活動性抗体関連拒絶と確定診断されたのは17例で、うち2例には急性抗体関連拒絶の既往があった。レシピエントは男性8例、女性9例、平均年齢46.6歳(27−65歳)で、ドナーは平均年齢53.8歳(43−64歳)であった。ABO不適合移植は1例であった。確定診断された生検の時期は移植後1年から3年までが5例、5年から7年までが7例、7年以降が5例で、生検の種別はプロトコル生検8例、エピソード生検9例であった。確定診断される前のプロトコル生検で慢性活動性抗体関連拒絶が疑われた症例は9例であった。C4d陰性は6例であった。抗ドナー抗体はクラスI陽性が1例、クラスII陽性が13例、クラスIとII両方陽性が3例であった。
複数回生検され経時的に組織像を追うことができたいくつかの症例については病理組織像の変化も提示したい。 |