Zero hour生検における小葉間動脈硬化病変とタクロリムスによる慢性腎毒性との関連

東京女子医科大学 泌尿器科
* 八木澤 隆史、清水 朋一、尾本 和也、石田 英樹、田邉 一成
川崎市立多摩病院 病院病理部
小池 淳樹

【背景】カルシニューリンインヒビターは優れた免疫抑制効果を示す一方で腎毒性が問題視されている。慢性腎毒性ではDe novoに認められる不可逆性な細動脈中膜平滑筋の硝子化が特徴的である。今回、zero hour生検および経時的組織病理学的評価を用いてタクロリムスによる慢性腎毒性発症の背景を検討した。
【方法】2001年1月から2010年12月の期間、当科にてタクロリムス使用し、zero hour生検検体中に観察に十分な血管が含まれていた生体腎移植症例483例が対象。細動脈中膜硝子化病変は連続切片を用いて観察し、aahスコアを用いて評価した。
【結果】108例(22.4%)に生検にてタクロリムスによる慢性腎毒性が診断された。また、慢性腎毒性によるグラフトロス症例は認めなかった。慢性腎毒性発症背景は多変量解析によりzero hour生検における小葉間動脈硬化所見が挙げられた。慢性腎毒性発症の有無はグラフトサバイバルに影響を与えなかった。
【結論】Zero hour生検における病理組織学的評価はタクロリムスによる慢性腎毒性発症に対して重要である。

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