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Banff 2013でC4d陰性の抗体関連拒絶が正式に採用され、診断基準が変更となった。これを機に当院でchronic active ABMRと診断、あるいは疑った症例をretrospectiveに検討したので報告する。
【目的】当院腎生検症例におけるchronic active ABMR症例の現状把握 【対象】2010年6月より2014年5月まで当院で演者(ならびに共同演者)が診断移植腎生検症例533名、1788件。電顕は、全症例検索が行われておらず比較検討外とした。
【結果】このうちchronic active ABMR、あるいは疑いとした症例で、DSA陽性が判明している、あるいは病理診断後の検索で陽性と判明した症例は22例であった。Banff scoringでは、c4dはc4d0が9例、c4d2が2例、c4d3が11例であった。c4d3のうち、3例はABO不適合移植であった。c4d0かつg ptcが2以上の、Banff 2013のcriteriaを満たす症例は4例であった。4例中3例はプロトコール生検で、残りの1例はエピソード生検で移植後17年経過していた。4例中2例は急性抗体関連拒絶の既往があった。残ったc4d陰性例9例のうち5例は疑いのままとなった。確定例で、c4d陰性、c4d陽性の2群間でBanff scoring、蛋白尿、血清クレアチニン値など比較したが、いずれも有意な差は認めなかった。病理診断名に疑いをつけず、光顕的にBanff 2013のcriteriaを満たすchronic active ABMR症例はなかった。
【考察】今回の検討ではc4d陰性症例に特徴的な所見はなく、臨床的な差異も認めなかった。早期診断にはBanffの示す電顕のほか、プロトコール生検の定期的な施行が効果的と考える。また、今回の検討とは少し外れるが、また臨床的、組織学的にchronic active ABMRと考えられているがDSA検索によって証明できない症例も数例見られ、今後検討を要すると考えられた。 |