急性抗体関連型拒絶と形質細胞浸潤を伴う急性T細胞型拒絶に対しリツキシマブとボルテゾミブの併用療法を行った小児例

新潟大学 腎・膠原病内科
* 河野 恵美子、今井 直史、伊藤 由美、成田 一衛
新潟大学 泌尿器科
池田 正博、田ア 正行、中川 由紀、齋藤 和英、高橋 公太

【症例】5歳女児
【現病歴】双体間輸血症候群(TTTS)の受血児として出生した。腎梗塞によると思われる腎不全を発症し、1歳8ヶ月で腹膜透析に導入された。4歳時、母親をドナーとする血液型不一致(O型→A型)生体腎移植(HLA 3missmatch、リンパ球クロスマッチ陰性)を施行され、免疫抑制はCyA、MMF、MP、Basiliximabで導入された。Cr 0.36-0.4mg/dlで推移し、移植後56日目に退院時生検を施行した。光顕ではCyAによる尿細管の石灰化が疑われたが、明らかな拒絶反応はみられず、一方で蛍光抗体法ではC4dが糸球体係蹄壁およびPTCにびまん性に陽性 (C4d3)であった。輸血により感作されたと思われる抗DQ抗体が陽性であったが、DSAは陰性であった。CyAを減量し、トラフ 50前後で維持したが、移植後180日頃よりCrが徐々に上昇(Cr 0.4→1.1mg/dl)したため、移植後336日目に生検を施行した。光顕で軽度の糸球体炎(g1)、尿細管炎(t3)、形質細胞を10%以上含むリンパ球主体の強い間質炎(i2)がみられ、急性抗体関連型拒絶反応(AABMR)と形質細胞浸潤を伴う急性T細胞型拒絶反応(ATCMR)と診断された。ウイルス感染は血清学的、組織学的に否定的であった。蛍光抗体法でのC4d沈着(C4d3)は不変であり、加えて尿細管上皮細胞にHLA-DRが陽性であった。DSAは、DR15(ドナータイプ)に近接する遺伝子であるDR51が陽性であり、抗DR15抗体の産生が疑われた。CyAをFKに変更し、MMFを250→500mgに増量し、 ステロイドパルス療法、血漿交換3回、IVIGを行い、Cr 0.8mg/dlに若干改善したがDSAは消失しなかった。ABMRに対する治療不十分と判断し、血漿交換3回、IVIGを再度行ったのち、リツキシマブ 375mg/m2点滴静注を1回、ボルデゾミブ1.3mg/m2の点滴静注を4回施行した。骨髄抑制や感染症など明らかな副作用はみられなかった。治療1か月後の抗DR51抗体価に変化はなく、近日治療効果判定の腎生検を実施予定である。
【考察】ABMRおよび形質細胞浸潤を伴うTCMRの小児例に対し、リツキシマブとボルテゾミブ併用療法を行った1例である。AABMRに対し、リツキシマブ単独で一定の効果は得られるとされるが、形質細胞浸潤を伴うATCMRの合併例に対する検討はされていない。リツキシマブとボルテゾミブ併用によるAABMRと形質細胞浸潤を伴うATCMRへの効果について、組織学的所見をふまえ報告する。


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