移植後19年目でIgA腎症再発が疑われ、その後増悪した1例

岐阜大学医学部 泌尿器科
* 土屋 朋大、堀江 憲吾、安田 満、横井 繁明、仲野 正博、出口 隆
サンシャインM&Dクリニック
伊藤 慎一
岐阜大学医学部附属病院 病理部
広瀬 善信
山口病理組織研究所
山口 裕

 症例は62歳男性。1986年に原疾患不明の末期腎不全のため腹膜透析導入となり、1990年6月4日に妻をドナーとした生体腎移植術(血液型一致)を施行した。移植後の経過は良好で血清Cre値は1.3mg/dl前後で安定していた。移植後19年経過した2009年10月に血尿・蛋白尿の出現を認め、移植腎生検を施行、IgA腎症の再発が疑われたため、扁桃摘出術およびステロイドパルス療法を行った。その後、一旦、血尿・蛋白尿は消失したが、2013年3月に血清Cre値1.9mg/dlと上昇、蛋白尿の増悪も認めたため、移植腎生検を施行した。通常のIgA腎症と異なり、係蹄壁にhump様IgAが陽性であり、IgA関連腎炎の可能性も考えられる所見であった。ステロイドパルス療法を施行し、腎機能の改善を認めた。

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