移植後19日でIgA腎症の再発を来した1例を含む移植後IgA腎症12例の特徴

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 大塚 康洋、武田 朝美、加藤 由貴、後藤 千慶、末田 伸一、
村田 実奈子、新城 響、堀家 敬司、稲熊 大城、比留川 喬、
山本 貴之、辻田 誠、平光 高久、後藤 憲彦、鳴海 俊治、
渡井 至彦、両角 國男

 症例は移植時年齢23歳、男性。19歳時に初めて尿蛋白および尿潜血を指摘され、腎生検でIgA腎症と診断されていた。ステロイドパルス療法、PSL、CyA、抗凝固療法などによる治療をされたが、23歳時にsCr 5mg/dl台となったために、当院を紹介受診した。母親をドナーとした先行的生体腎移植を施行した。HLA3ミスマッチ、ABO血液型適合、リンパ球クロスマッチ陰性で、免疫抑制剤はPSL、CyA、MMF、BXMで導入した。1時間生検では問題なく、IFでIgAの沈着は認めなかった。尿蛋白は0.2g/dayにまで低下し、best sCr 1.59mg/dl(day16)であった。day 19にはsCr 1.80mg/dl、尿蛋白1.1g/dayとなり腎生検でフィブリン析出を伴う壊死性糸球体炎を認め、IgA腎症の再発と診断し、ステロイドパルス、DFPP、抗凝固療法を施行した。移植後6ヶ月では、sCr 2.22mg/dl、尿蛋白4.6g/dayで、腎生検では管内増殖性変化や壊死性病変、半月体が見られ、活動性再発性のIgA腎症に対して、ステロイドパルス療法、Rituximabで治療した。しかし、治療抵抗性で、移植後1年でsCr 2.19mg/dl、尿蛋白 3.2g/day、腎生検では同様の活動性再発性腎炎像を呈していた。
 上記症例を含む移植後IgA腎症を認めた12例を組織学的および臨床的に検討した。

【結果】男性8例、女性4例。移植時年齢29.6±10.8歳。血液型不適合移植1例、移植時脾臓摘出術1例、Rituximabでの前処置0例。移植後再発までの期間は最短19日、最長12年、54±49月であった。組織学的には、境界型病変1例、CAN Ia 4例、CAN Ib 1例。7例に半月体を認め、うち4例は壊死性病変を伴っていた。蛍光抗体法ではIgA陽性は12例、C3陽性は11例、C3陰性は1例、Fib陽性は6例であった。

【まとめ】移植後早期にIgA腎症を再発した症例を通して、移植後IgA腎症の特徴を報告する。


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