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Calcineurin inhibitor(cyclosporin)による腎毒性に対しcyclosporinからeverolimusに変更することで腎毒性が改善した1例 |
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(独)国立病院機構水戸医療センター 臓器移植外科 |
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(独)国立病院機構水戸医療センター 病理診断科 |
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Cyclosporin(CsA)やtacrolimusに代表されるcalcineurin inhibitor(CNI)の開発により腎移植の成績は飛躍的に向上した。その一方で、CNIによる急性および慢性の腎毒性(NT)で長期生着が妨げられることも報告されている。今回、腎移植後発症したCsA-NTに対し、CsAをmTOR阻害剤であるeverolimus(Eve)に変更することで、NTと腎機能がともに改善した症例を経験したので報告する。
【患者】53歳、女性。妊娠高血圧症で慢性腎不全に陥り、これまで2度の生体腎移植を受けるも、移植後発症した悪性リンパ腫に対する化学療法などにより、移植腎機能が廃絶し、維持透析中であった。今回、50歳の夫をドナーとして、3度目の生体腎移植術を施行した。抗HLA抗体陽性のため、術前減感作療法を施行後、CsA、Mycophenolate mofetil(MMF)、Prednisolone(PSL)、Basiliximabの4剤で免疫抑制導入維持を行った。Immediate functionを認め、即時利尿を得たが、第3病日(POD 3)より徐々に尿量が減少してきたため、POD 14に腎生検(BTx)を施行し、CsA-NTと診断した。そこでCsAを減量することにより、移植腎機能は徐々に改善し、POD 30に血清クレアチニン値(sCr)1.07(mg/dl)で退院した。その後、2度拒絶反応(CR)を発症するも抗拒絶療法で改善し、sCrも1.4-1.6(mg/dl)で安定した。その時行ったBTxの所見では、CsA-NTが混在しているのを認めた。POD 293に突然sCrが 4.03(mg/dl)へ上昇、BTxを行いCsA-NTと診断した。さらにCsAの減量を行うも、この時は、移植腎機能は安定せず、POD 341にCsAをEveへ変更し、Eve+MMF+PSLの維持免疫抑制療法とした。その結果、移植腎機能は徐々に改善、POD 420にはsCrも1.17(mg/dl)まで低下し、BTx所見でもCsA-NTは改善しているのを認めた。
【結論】腎移植後に発症したCsA-NTに対し、CsAをEveに変更することで、CsA-NT の改善を認めた。本症例では、CsAをEveに変更することによって、CRを発症することはなく、さらにCsA-NTも改善し、移植腎機能も良好になった。本症例では、EveはCsAの代替として安全に使用でき、CsA-NTに対して、Eve+MMF+PSLは効果的な免疫抑制療法であった。 |
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