当院における移植後IgA腎症再発に対する扁摘症例

京都府立医科大学大学院 移植・再生外科
* 牛込 秀隆、越野 勝博、坂井 利規、鈴木 智之、昇 修治、吉村 了勇
京都府立医科大学大学院 臓器応答探索医学講座
松山 昌秀、岡島 英明、吉村 了勇

【はじめに】移植後長期の生着を目指す上で、原疾患の再発が問題になってきている。IgA腎症は再発によるグラフトロスが移植後短期では少ないが、中長期では散見され、扁摘効果が検討されている。今回IgA腎症再発して扁摘を施行した症例を検討した。

【方法】移植前に施行した症例は1例であった。移植後尿検査で異常を認め、生検にてIgA腎症の再発を認めた症例に扁摘を行った。

【結果】扁摘症例は9例あり、男性4例女性3例で、移植時平均年齢は34.5歳、扁摘施行時は移植後平均4年5か月であった。扁摘時平均SCr値は1.9mg/dl。扁摘後尿蛋白、潜血が陰性化した症例が4例認めたが、扁摘後の生検ではIgAの沈着を認め病理組織像は残存していた。扁摘時SCrが高値の症例は改善が乏しく、1例廃絶している。

【考察まとめ】扁摘は、腎移植後IgA腎症再発の病態進行を抑える効果を持つ可能性があるが、腎障害がすでに進行した状態では効果は乏しく、扁摘の適応を検討する必要があると考えられた。

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