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【背景】傍尿細管毛細血管(peritubular capillary:PTC)へのC4d沈着は抗体関連型拒絶反応(Antibody-mediated
rejection:AMR)の診断に有用であるが、近年はC4d陰性のAMRが約半数存在するという報告もあり、C4dの有無より、糸球体炎や傍尿細管毛細血管炎といったいわゆる毛細血管内炎症(Microvascular Infl ammation:MVI)を重視する傾向がみられる。当院の腎移植症例を後方視的に解析した。
【方法】対象は2007年1月から2009年12月までに東京女子医科大学泌尿器科で腎移植を受けた184例。患者背景は生体腎165例(89.7%)、献腎移植19例(10.3%)、年齢の中央値46歳(19-70歳)、男性122例(66.3%)、女性62例(33.7%)、移植回数は1回175例(95.1%)、2回7例(3.8%)、3回1例(0.5%)で、ABO血液型は適合112例(60.9%)、
不一致27例(14.7%)、不適合移植は45例(24.5%)であった。生検は延べ563回行われており、0時間生検とABO不適合移植を除く260生検を対象とした。糸球体炎もしくは傍尿細管毛細血管炎の所見とC4d沈着の有無につき検討した。
【結果】ABO不適合を除く139例260生検で、そのうちMVIを認めたものは51生検(19.6%)であった。糸球体とPTCの両方に細胞浸潤を認めたものは19生検でこのうちC4d陽性の10生検は全例AMRの診断で、C4d陰性では7/9例で抗ドナー抗体陽性とMVIの所見からAMRと診断されていた。MVIが糸球体炎単独だったのは11生検であり、C4d陽性の1生検がAMRで、C4d陰性の10生検でAMRと診断されたものは無かった。MVIが傍尿細管毛細血
管炎単独の症例は21生検で、このうちC4d陽性の2/5生検でAMRであり、C4d陰性の残り16生検にAMRと診断されたものは無かった。全体で20生検(7.7%)がAMRでありこのうちC4d陰性でAMRと診断されたものは7生検で、C4d陰性AMRの割合は35%であった。
【結語】毛細血管内炎症や抗ドナー抗体陽性であるが、PTCへのC4d沈着を認めない抗体関連型拒絶反応の存在が考えられた。 |