Transplant glomerulopathy(TGP)の臨床病理学的検討

東京女子医科大学 泌尿器科
* 清水 朋一、石田 英樹、田邉 起、白川 浩希、尾本 和也、田邉 一成
東京女子医科大学 第2病理
本田 一穂
東海大学 八王子病院 病理
小池 淳樹

 今回慢性拒絶反応における糸球体病変である、Transplant glomerulopathy(TGP)について検討した。
 東京女子医科大学泌尿器科では、2006年1月から2010年12月までの5年間で、Transplant glomerulopathy(TGP)を37例の60回の移植腎生検で認めた。全例生体腎移植であった。男性12例、女性25例で、ABO適合が17例、不一致が9例、不適合が11例であった。腎移植後平均53.1ヶ月の移植腎生検で認めた。
 TGPのBanff 'cg' scoreでは、mildのcg1が27検体、moderateのcg2が16検体、severeのcg3が15検体であっ た。傍尿細管毛細血管炎は85%の51検体に認め、Banff 'ptc' scoreではptc1が19検体、ptc2が22検体、ptc3が10検体であった。糸球体炎は81.6%の49検体に認め、g1が22検体、g2が17検体、g3が10検体であった。傍尿細管毛細血管基底膜の重層化に関しては光顕上のscore(ptcbm)を用いて診断したところ、76.6%の46検体に認め、 ptcbm1が25検体、ptcbm2が18検体、ptcbm3が3検体であった。免疫組織学的に傍尿細管毛細血管へのC4dの沈着は、58例施行にて56.8%の33検体に認めたが、一般的に陽性と診断するdiffuseであるBanff 'C4d' scoreのC4d3 に関しては23検体と39.6%であり、TGP症例のなかではC4d沈着が必ずしも認めないことが示唆された。間質の線維化と尿細管萎縮(IF/TA)は81.6%の49検体に認めた。
 動脈炎は11.6%の7検体に認めた。間質への細胞浸潤は45%の27検体に認めたが、Banff 'i' scoreでの2以上は7検体しかなかった。尿細管炎もBanff 't' scoreでの2以上は4検体のみであった。2011年4月までの経過観察にて、graft lossは8例(21.6%)に認めたが、TGPなどの慢性拒絶反応が原因となったのは6例(16.2%)だけであった。
 今回TGPについて臨床病理学的に検討する。

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