BKV腎症及びCMV感染にplasma cell-rich rejectionを合併した1例

東京慈恵会医科大学
* 眞船 華
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
丹野 有道、山本 裕康、小林 賛光、西川 元、横尾 隆、早川 洋、
宮崎 陽一、横山 啓太郎、細谷 龍男
山口病理組織研究所
山口 裕

 症例は37歳男性。原疾患不明の慢性腎不全で2009年9月透析導入となり、生体腎移植を希望され当院受診となった。術前検査にて、以前より指摘されていた傍大動脈リンパ節腫大を認めたため開腹生検を施行、サルコイドーシスと診断した。2010年9月実母をドナーとする血液型適合生体腎移植を施行しbest-Cr1.35mg/dlと経過良好であった。しかし、術後3週目にD-Jステントを抜去したところ腎機能悪化(Cr1.8mg/dl)を伴う水腎症を認め、D-J ステントを再挿入した。Crは1.3mg/dlまで改善したが0.8g/日前後の蛋白尿が遷延したため術後68日目に腎生検施行し、抗SV40陽性細胞と尿中BKV高値(血中BKV陰性)からBKV腎症と診断、直ちに免疫抑制薬を減量した。その後、CMVアンチゲネミアも認め、VGCVを投与するも好中球減少性発熱を合併したため、免疫抑制薬をさらに減量しつつG-CSFおよびIVIgを投与したが、腎機能は徐々に増悪(Cr2.9mg/dl)した。しかし、術後85日目の再生検では拒絶反応なく、抗SV40陽性細胞も消失していた。CMV感染も鎮静化したが、尿中BKV高値が遷延したため、免疫抑制剤の減量は継続した。感染症の鎮静化にも関わらず、Cr3.3mg/dlまで再び腎機能増悪したため、術後117日目に再生検を施行。リンパ球と形質細胞を主体とする著明な尿細管炎および間質性腎炎に加え、PTC,糸球体にも炎症細胞浸潤を認めたが、C4d染色及びfl ow PRAともに陰性であった。以上より、plasma cell-rich acute T-cell mediated rejectionと診断し、ステロイドパルス療法、免疫抑制療法の強化を行ったところ、Cr1.7mg/dlまで改善した。移植後早期のウイルス感染症ならびに急性拒絶反応を認め、その管理に苦慮した1例を経験したので報告する。


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