腎移植後9日目からの急激な腎機能低下を示したABO不適合夫婦間移植症例

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 武田 朝美、村田 実奈子、川口 武彦、鈴木 大成、大塚 康洋、
堀家 敬司、稲熊 大城、辻田 誠、平光 高久、山本 貴之、
南木 浩二、後藤 憲彦、渡井 至彦、打田 和治、両角 國男

 レシピエントは65歳男性O型で糖尿病性腎症からの末期腎不全。ドナーは64歳妻B型で脂質代謝異常あり。レシピエントの抗B抗体価x2以下と低く、移植前処置としての脾臓摘出およびリツキシマブ投与は行わなかった。14日前からMMF内服開始し、術前にDFPPを4回を施行した。免疫抑制剤は、シムレクトで導入しタクロリムス・PSL・MMFを使用した。移植後利尿良好で4日目でbest-Cr=1.3mg/dlとなるも、9日目から尿量減少し移植腎機能悪化した。
 尿量はシャットダウンに近く、抗B抗体価がx16と上昇がみられ、臨床的には急性抗体関連型拒絶反応が疑われた。GWに重なり治療を優先し、ステロイドパルス・DFPP・PEX・リツキシマブ投与を施行した。Cr=4.4mg/dlまで上昇しHDも併用した。タクロリムス血中濃度はトラフ30ng/mlと高値であった。尿量の増加見られず、原因検索のために移植後15目に移植腎生検を施行した。生検時Cr=3.3mg/dl、血小板は10万まで減少していた。臨床的には急性抗体関連型拒絶反応が疑われたが、移植腎生検組織では拒絶反応所見はみられず、尿細管障害および糸球体血栓形成からタクロリムスによる急性腎障害と診断した。移植腎生検組織を供覧する。

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