腎移植後ステロイド早期離脱プロトコールの中期成績

北海道大学病院 泌尿器科
* 三浦 正義、下田 直彦、堀田 記世彦、福澤 信之、田邉 起、
野々村 克也
市立札幌病院 腎臓移植外科
原田 浩、関 利盛

【目的】ステロイド早期離脱療法の中期成績を報告する。
【方法】当2施設の既存抗体陰性生体腎移植症例で、バジリキシマブ、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェティルに加え、術当日からメチルプレドニゾロン(MP)を3日間のみで導入し、6 ヶ月以上の観察期間を有する51例(SED群)と、MPを移植後4週で4mgまで減量し、以後継続するプロトコールを使用した77例(LDS群)を対象とした。移植後3年までの移植腎機能、急性拒絶反応(AR)、バンフ分類でのci, ctスコア、全節性硬化率(GSR)、日和見感染症、 新規糖尿病発症について検討した。
【結果】全例で移植腎は生着中である。移植腎機能については1か月目を除き血清クレアチニン、尿蛋白ともに両群間で差がなかった。SED群12例でARを発症し、MPZパルス・塩酸グスペリムス投与で治癒し、うち5例がステロイドフリーで観察中であるが、7例はMPを導入した。SED群におけるARの頻度(24%)はLDS群(19%)と差がなかった。2群間でci, ctスコア、GSRに差はなかった。また日和見感染の頻度には差がなかった。新規糖尿病はSED群の6%、LDS群の8%に発症し、頻度に差がなかった。
【結語】ステロイド早期離脱プロトコールの中期成績は良好だった。

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