腎移植後1年3ヶ月後に施行したプロトコール生検にて急性血管型拒絶反応を呈した1例

東京女子医科大学 泌尿器科
* 清水 朋一、石田 英樹、今井 健二、土岐 大介、白川 浩希、
尾本 和也、田邉 一成
東京慈恵会医科大学柏病院 病理
山口 裕

 症例は41歳男性。平成19年5月に母をドナーとした生体腎移植施行した。移植後3日目に血中クレアチニンの上昇を認めたため、臨床的に急性拒絶反応と診断し、ステロイドパルス療法施行した。移植後16日目に施行した移植腎生検では拒絶反応は認めなかった。移植6 ヶ月後のプロトコール生検ではBorderline changesであった。光顕所見で有意な傍尿細管毛細血管(PTC)炎は認めなかった。免疫組織染色(IF)では傍尿細管毛細血管(PTC)へのC4dの沈着をfocalに認めた。移植後1年3 ヶ月後にプロトコール生検施行したところ、1)Acute vascular rejection, proliferative and infiltrative endarteritis, moderate、2)Acute antibody-mediated rejection(acute-AMR)と診断した。IFではPTCへのC4dの沈着をdiffuseに強陽性(2)に認めた。デオキシスパーガリン(DSG)の3mg/kg/dayの5日間連日投与を1コースとし、時間をあけて3コース施行した。DSG施行後の移植腎生検では、1)Chronic active vascular rejection, proliferative and infiltrative arteriopathy, moderate、2)Acute-AMRと診断した。IFではPTCへのC4dの沈着をdiffuseに認めたが1であった。患者さんの血清を用いてanti-human leukocyte antigen(HLA)class Ⅰ and class Ⅱ抗体をLuminex technologyで調べたところ、抗ドナー特異抗体(DSA)が検出された。そのため、リツキシマブを200mg投与した。その後の移植後1年9 ヶ月の移植腎生検では、1)Chronic active vascular rejection, proliferative and infiltrative arteriopathy, moderate, with neomedia、2)Chronic active AMRと診断した。IFではPTCへのC4dの沈着をdiffuseに認めたが前回同様1であった。
 今回、本症例を通して、急性血管型拒絶反応の診断と治療について考察する。


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