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生体腎移植後90日以内の病理組織所見〜ABO血液型不適合、不一致、一致症例の比較検討 |
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京都府立医科大学 移植・再生外科学 |
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牛込 秀隆、越野 勝博、昇 修治、岡島 英明、吉村 了勇 |
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京都府立医科大学 臓器応答探索医学講座 |
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京都府立医科大学 計量診断病理学部門 |
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京都府立医科大学附属病院 レシピエントコーディネーター |
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【目的】免疫抑制療法の進歩によりABO血液型不適合腎移植の早期成績は著しく向上し、短期生着率はABO一致・適合症例とほとんど変わらなくなっている。しかし、依然として拒絶反応を根絶できているわけではない。今回我々は、腎生検病理所見をABO一致、不一致、不適合の3群に分けて移植早期の急性拒絶反応についてを比較検討した。
【対象と方法】2009年3月までに当院で生体腎移植を施行して移植後14日−90日の間に生検された136例を対象にした。ABO一致、不一致、不適合群はそれぞれ79、35、22例であった。拒絶反応の組織学的評価はBanff診断基準の急性拒絶反応のスコアリングと傍尿細管毛細血管炎スコア(PTC)を用いて評価した。 【結果】尿細管炎ではt2が不適合群で86%と高頻度であったが、t3は一致群が12.7%に対して不適合群は5%であった。間質、糸球体炎ではi2、g2以上の症例は少なく3群間に有意差はなかった。傍尿細管毛細血管炎ではPTC2以上の症例は不適合症例が86%と高頻度であり、一方動脈内膜炎は一致群に1例(v1)認めるのみであった。PTCへのC4d沈着は不適合群で22例が陽性であったが液性拒絶と診断したのは3例であった。一致、不一致群では5例が陽性で液性拒絶と診断したのは3例であった。
【まとめ】不適合群では液性拒絶反応の頻度は高いが(3/22 13.6%)、液性拒絶反応を認めない(非特異的)PTCへのC4d沈着が多く、またPTC2、t2の拒絶反応を高い頻度で認めた。但しt3以上の拒絶反応や血管炎は一致・適合群の方が多く認め、抗血液型抗体以外の因子の関連も考慮検討する必要がある。 |
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